希望が閉ざされたら、本を開こう。

生き方を問い直す読書感想文

2019-04-29から1日間の記事一覧

『こころ』(夏目漱石著、角川文庫、2004年)

『こころ』との出会いは、高校の教科書に載っていたものを読んだのが最初であった。おそらく、僕と同年代の人々は大抵そうなのではないだろうか。 それは思春期の若者の心に、鮮烈な衝撃を与えた。教科書の文章というカテゴリーを超えて、僕の心を捉えた。 …

『明日クビになっても大丈夫!』(ヨッピー著、幻冬舎、2017年)

僕がこの本を読んでいることを僕の友人が知ったら、「『明日クビになっても』って、もうとっくにクビになっとるやないか!」と突っ込まれること請け合いだが(笑)、ちょっと気になっていたので読んでみた。 結論から言うと、これはオススメ。会社に勤めてる…

『近代日本人の発想の諸形式 他四篇』(伊藤整著、岩波書店、1981年)

「小説」を読むのは面白いが、「小説とは何か」を読むのもこれまた面白い。 「○○とは何か」というのは、一種の「定義づけの試み」である。「定義する」ということは、その対象を規定し、説明することだ。 正しい定義は、ひとつの対象に対してひとつだけ、と…

『夜型人間のための知的生産術』(齋藤孝著、ポプラ新書、2017年)

「朝型生活」の素晴らしさが喧伝される中で、我々「夜型人間」はずいぶん肩身の狭い思いをしてきた。 思い切って朝型に切り替えようとして、挫折し続けている人も多いはずだ。 考えてみれば、「早起きをしようとしてできない」日々の繰り返しは、毎朝が「敗…

『時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体』(松浦荘著、講談社、2017年)

「時間」という「実感はあるのに実体がない」ものの本質を、物理学の最先端から捉えようとするのが本書である。 基本的に物理学の話なので、当然ロジカルに展開するのだが、なにぶん一般人が考える物理の常識を軽々と超えていく世界。途中からは、かなり集中…

『漫画 君たちはどう生きるか』(吉野源三郎原作、羽賀翔一漫画、マガジンハウス、2017年)

異例のヒットを飛ばした話題の漫画。 ご存知のとおり、1937年に出版された『君たちはどう生きるか』を漫画にしたものである。 ちなみに僕は原作のほうは読んでいないので、これはあくまでこの漫画についての感想である。 結論から言うと大変おもしろかったの…

『孤独論 逃げよ、生きよ』(田中慎弥著、徳間書店、2017年)

僕が田中慎弥氏のことをはじめて知ったのは、テレビで放映された芥川賞授賞式の映像でだった。 ふだんテレビに映し出される映像は、ほぼ例外なく予定調和的なものだが、この人の佇まいは、「そういうこととは全く関係なくそこにいる」という感じだった。 な…

『感じるままに生きなさい 山伏の流儀』(星野文紘著、さくら舎、2017年)

終始ウンウンとうなずきながら読了した。 「魂のまにまに、気になることをやる。そうすると自分の魂がすごくよろこんで、強くなっていく。頭で決めないこと。感じたことからやりなさい。魂のまにまにを大事にして」(164頁) これはもう大きな紙に毛筆で書き…

『愛蔵版 まんが道』第1巻〜第4巻(藤子不二雄著、中央公論社、1986年〜1987年)

これを読んでいるあいだは、本当に青春時代に戻ったような気持ちになってしまった。 けれども、その青春時代の思いは今もやっぱり残っていて、主人公である満賀と才野の姿を、自分に重ね合わせずにはいられなかった。 自分が決めた道を進むことの喜びだけで…

『自分の中に毒を持て あなたは〝常識人間〟を捨てられるか』(岡本太郎著、青春出版社、1993年)

僕の人生に最も大きな影響を与えた一冊。 当時勤めていた会社を辞めたのも、今思えばこの本の影響が大きかったような気がする。それだけ大きな力を持った本だが、逆に言えば危険な本でもある。 やっぱり人にはそれぞれの性質というものがあるから、岡本太郎…