『「世界の神々」がよくわかる本 ゼウス・アポロンからシヴァ、ギルガメシュまで』(東ゆみこ監修、造事務所著、PHP研究所、2005年)
「世界の神々」がよくわかる本 ゼウス・アポロンからシヴァ、ギルガメシュまで (PHP文庫)
- 作者: 東ゆみこ,造事務所
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/12/02
- メディア: 文庫
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いやー、昔の人たちの想像力って、ほんまにすごいなと改めて感心した。
どーやったらそんなん思いつくん?というような摩訶不思議な逸話が盛りだくさん。
その神話の世界観は、数々の小説、映画、ゲームなどでおおいに引用され、描きだされていることは言うまでもない。
現代の世界では、世の中の不思議の多くが、科学の力などによって解明され、わかるようになってきた。
でもその「わかる」ということが、人間の想像力をいかに奪ってきたかということを考えると、やはり人類はそれだけの代償を払ってきたのだと思わざるを得ない。
世の中の不思議そのものが、人間の好奇心から生み出されたものだとすれば、それが解き明かされていくのは人類の宿命でもあるのだが。
この本を読んだからというわけではないのだが、僕はできるだけ、「わからない」ということを意識するようにしている。
そもそも、この宇宙がどのように誕生したのかさえ明確にはわかっていないし、量子論や相対性理論のように、とうてい僕らの常識の及ばない世界が、確かに存在している。
そんな中で、「これは絶対にそうだ」と断言したり、あまりにも理路整然と説明できてしまうことなんて、むしろいかがわしいもので、そこには人間の利害が絡んでいることも多い。
特に一番わかった気になってはいけないのが、「人間の気持ち」というものだろう。
これはあたりまえのことだが、相手の心の中なんて、どうしたって正確にわかるわけがない。
だからこそ人は相手を思いやり、相手の立場にたって考え、想像力を働かせようとする。
自分が相手と同じ経験をしていれば、より同じ気持ちを共感できる。そうでない場合は、今までの自分の経験を相手の立場に置き換えて、気持ちを想像するしかない。
だから自分と全く違う立場や考え方を持つ人の気持ちは理解しにくいし、共感するのも難しい。
そのいろんな立場や考え方の経験を補うのが、本とか映画などの創作物なんじゃないかと思う。
それでも、自分が一生に見れる映画や本の数など微々たるものだし、自分自身の経験の量なんて、さらに知れている。
だからこそ、「わからない」と思うことが大事だと思う。
自分自身のほんのわずかな経験の中に相手を当てはめて「わかった」気持ちになるなんて、ほんとに愚かなことだ。
「わかった」ような気がしても、どこかで「ちがうかもしれない」と思うことで、ゆらゆらと気持ちを漂わせていたい。
「世界の神々」がよくわかる本 ゼウス・アポロンからシヴァ、ギルガメシュまで (PHP文庫)
- 作者: 東ゆみこ,造事務所
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