希望が閉ざされたら、本を開こう。

生き方を問い直す読書感想文

『小説家・ライターになれる人、なれない人 あなたが書けない本当の理由』(スーザン・ショフネシー著、宮崎伸治訳、同文書院、1998年)

「書くということは他の何よりも難しいのです。少なくとも書き始めることはそうです」(クリスティン・ハンター)

文章を書く人の多くが、この言葉に何度もうなずいているのが目に見えるようである(笑)。

ここでも強調されているように、難しいのは「書くこと」というより、「書き始めること」なのだ。

だがこれはたぶん、文章を書くことに限らず、多くのことに共通するのではないか。

そこでこの一冊。

やるべきことがあるけれども、なかなか腰が上がらないという方は、ぜひ身近に置いておくとよいだろう。

次に紹介するいくつかの抜粋だけでも、ちょっとやる気が湧いてくる、かもしれない(笑)。

ノアの方舟は素人が造りました。タイタニック号は専門家が造りました。ですから専門家を待たないように」(マレイ・コーエン)

「どうやってするかって? 手探りでやるだけさ」(アルベルト・アインシュタイン

「書く(あるいはライターになる)ことについて唯一確かなこと、それは、何にしても書かなければならないということです」(ジャネット・フレイム)

「人は、自分が本当にやりたいことをやっているときは、いい人なのです」(サミュエル・バトラー)

「私は、たとえ数行しか書けなくても、毎日2時間書くことにしています。……書きたいと思うまで待っていると決して何も書けないのです」(デーブ・バリー)

「誰も完全なライターが現れることなど期待していません」(スーザン・ショフネシー)

「私たちは、快適さと贅沢が人生で最も必要なものであるかのように振る舞います。しかし、本当に幸せになるために必要なものは、自分が打ち込めるものを持つことなのです」(チャールズ・キングレー)

書く人のモチベーションを上げるとともに、ちょっとした人生訓にもなっているこの本。

内容に同意する、しないに関わらず、それで執筆が少しでも進むのならば、この本は間違いなく「買い」でしょう。

しかし残念ながら今は絶版らしく、中古しか手に入らない。

タイトルをもう少しわかりやすくして文庫化したら、けっこう売れる気がするけどなあ。

小説家・ライターになれる人、なれない人―あなたが書けない本当の理由

小説家・ライターになれる人、なれない人―あなたが書けない本当の理由